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住環境資料室

水の蒸発潜熱を活用した冷却技術

1. 2007年の話題としての“水の蒸発潜熱を活用したヒートアイランド現象の緩和”

ヒートアイランド現象は、地球環境問題として重要でありますが、快適な住環境としても身近なものであると考えられます。
2007年は、省エネ型のヒートアイランド現象の緩和として【水の蒸発潜熱】を活用したものが話題となりました。
具体的には次のようなものがあります。

  1. 透水性舗装材に、いわゆる打ち水をするもの
  2. 光触媒の親水性を生かして、ビルの壁面等を均一に水の膜を形成させ、その壁面から水を蒸発させるもの
  3. 外気中にミストを噴霧し、その蒸発潜熱を活用するもの

この中で、ここでは、もっとも一般の人が馴染みやすいものとして、幾つかの市街地等で見られた、3の【外気中にミストを噴霧し、その蒸発潜熱で、空気を冷却するシステム】に着目しました。
この具体的なものとして、【なごミスト】(○R)について、なごミスト設計有限会社の資料等を参照して、この話題について触れ、更に湿度について考えることとします。
尚、なごミストはミスト設計有限会社の登録商標となっています。


2. なごミストについて

(1) なごミストとは

ヒートアイランドの緩和として、愛知万博以来【なごミスト】が注目されています。
なごミストのなごは、名古屋のなご、と、和むのなごから、とのことです。尚、なごミストは、名古屋大学の辻本教授らによって開発されたものであり、現在は(有)なごミスト設計により展開されています。
尚、このコンテンツは、あくまでも話題提供なので、なごミストの詳細についてはなごミスト(名古屋大学環境学研究科 原田昌幸研究室等)を参照願います。


(2) なごミストのコンセプト

森林における、植物からの水の蒸散(潜熱による清涼感)を解析し、ドライミストによる水の蒸散を、人工により市街地で再現する技術である。
  1. 気化しやすい微小粒径のウォーターミスト(=ドライミスト)が特徴である。ドライミストとは、人の肌に触れても、ミストとは感じない。しかし、空気から、潜熱を奪い、気温(外気)を下げる。
  2. ミストの径は16μmで、この技術のポイントはポンプ。空気1m3あたり、1分間に7.5gを放出する。
  3. ポンプのエネルギー消費はクーラーに較べれば問題なく小さい。

(3) なごミストの効果

  1. ヒートアイランド現象の緩和
  2. ・概ね2.5℃外気が低下し、ちょっと涼しい(とても暑い→少し暑い)
    ・水の蒸発により、相対湿度が上昇することによる不快感の増加については、過去の研究成果で、相対湿度75%までは気温が温冷感を決めるというものがある。ここで、名古屋市の気象データを調査すると気温30℃以上、かつ、湿度70%以上は、年に数時間もない
  3. 夏季における不快感からのシフト
  4. ・なごミストを使って局所的に気温を下げると、ダウンフロー(下降気流)が起こって、風が吹く
    ・住宅で使う場合は、大きい窓のある軒先の真下にミストが吹き出すようにするとよい
  5. 建物の空調負荷低減(全体として省エネルギー)
  6. ・外気温が2℃下がると、建物の空調負荷は5.6%低減され、空調機器の効率は5%向上する。この結果、周辺の建物の空調エネルギーは10%削減できる

3. 湿度について(相対湿度)

【水の蒸発潜熱を活用したヒートアイランド現象の緩和】は、相対湿度の上昇に繋がるものであり、なごミストでもこれに触れています。
これは、次の理由によると考えられます。

  1. 水が蒸散し、湿気となることによる相対湿度の上昇
  2. 温度低下にともなう相対湿度の上昇

せっかく、温度が下がっても、不快指数が上昇するのでは逆効果となります。

不快指数DI(DI=0.72(気温+湿球温度)+40.6)

これについて、考えてみると、1.1〜3で述べた、3つの技術は、いずれも屋外で実施されるので、湿気は大気中に素早く拡散し、温度低下だけが残るような感じもします。湿気と熱の平衡状態に至るまでの時間に差があるのかもしれません。
いずれにせよ、愛知万博等で、猛暑の中で、ドライミストによる心地よい涼を得た経験のある方は多いのではないかと想像します。


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